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猫の葬儀を終えて(介護と看取り)

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終戦記念日の8/15に我が家の猫が老衰で亡くなった。22歳だったので人間でいえば130歳くらいの超々高齢、悲しいというよりは「長い間お疲れ様、ありがとう」という感じだ。ここ数年で次第に足腰が衰え、白内障で視力が低下し、認知症が始まり粗相することが増え、時々呼吸困難で倒れ・・・最期の数日は寝たきりの全介護状態だったが、大変というよりは、世話と介護そして葬儀を通じて学ばせてもらったことが多いので、ブログに書いてみようと思う。


老いの過程を見守る

猫の死とはいえその過程は人間と変わらない。それなりに頑張って生きようとしていたがだんだん思い通りに出来なくなって悔しいのか淋しいのか、やたら無意味に大声でギャアギャア鳴くことが増えた。トイレに行こうとしてウロウロするが場所が分からなくなって粗相してしまい、大変申し訳なさそうな、情けない表情でしょげていたり。感情移入による擬人化と言われるかもしれないが、生まれたばかりの仔猫の時からずっと生活を共にしてきたので、猫も結構複雑な感情を持っていることは疑いのないことだと思う。

やがて右目の白内障が始まり、その後左目も。去年辺りから視力は完全に失われていたがその他の感覚(とくに嗅覚と聴覚)を総動員して、日常生活では多少動作がゆっくりになる程度でさほど支障なく生活できていた。室内や庭には転落防止の柵を作ったり猫用の踏み台を置いて段差を少なくしたりと、猫の視点で生活を見直す作業は貴重な体験だった。一日の殆どを寝て過ごすようになり、それでも食欲や便通は普通にあり、目が見えないのに飼い主の私をウロウロ探して、私のそばで丸くなることが増えた。

先月辺りから段々トイレが自力で出来なくなってきたので、ついにペット用介護オムツを付けるようになった。しかしこれは吸水性能が低くすぐ横モレするので、ネットで紹介されていた作り方を参考にして、人間の新生児用オムツに尻尾用の穴を開けたものに変えたら、横モレは一切なくなり、吸水力と吸水量も倍くらい良くなった。さすが需要の多い製品は研究が進んでいて性能が良い。


衰弱と死を看取る

しかしその後次第に目に見えて弱っていき、立ち上がろうとしてゴロンと転倒した(さすがに猫なので怪我は全く無いが)のを機に、完全な寝たきり状態になった。噛む力が衰えたので食事は全て柔らかい生餌のみとし、体を抱えて食べさせたりしたが、数日後にはとうとう食事も全く受け付けなくなってしまった。水だけだと電解質が不足して神経系に障害が出るのは目に見えていたので(去年の夏に経験済み)、以前脱水症状で倒れた時に使った猫用スポーツドリンクを作って点滴代わりに使った。

これは人間用のポカリスエットやアクエリアスなどのスポーツドリンクを水で2倍に薄め、小さなチューブ付きボトル(ホームセンターで購入)に詰めたもので、ボトルに目盛が付いているのでどれだけ飲ませたかが分かるので便利だし、猫が寝たきりでも先細りチューブを口の端に入れて注入してやると結構良く飲んでくれる。効果はてきめんで、寝たきりではあるが反応が良くなってきて手足や尻尾を動かすことが出来るようになった。

一日の殆どの時間をマットの上で横になって過ごす日々。筋肉が固まるといけないので時々マッサージしては寝がえりさせる。あれだけうるさく鳴いてた声が全く出なくなり、寝たまま無言で手足(正確には前脚と後脚)をジタバタ動かしている。「苦しいのかな?」と最初は思っていたがどうやらそうではないらしい。よく観察すると手足の動きが歩いている動作と同じなのだ。規則的に対角上の脚を交互に動かす動作は散歩の時の動きと同じだ。「ああ、たぶんイメージの中で野原を散歩している気分なんだろう」勝手な憶測かもしれないが、もともと外歩きが大変好きな猫で、元気なときはよく遠くまで出かけては汚れた体で帰ってきたものだ。朦朧とした意識の中で、心だけが自由に動いて自分のやりたかったことをやっているに違いない。さらに観察していると手足をジタバタした後はしばらく小休止があって、またジタバタする。息は苦しげではなく顔も穏やかなので、たぶん心のなかで遊びまわっては休憩しているのだろう。自分が一番元気だった過去を思い起こして、イメージの中で実演しているのだ。

衰弱してはいたが穏やかな時間が過ぎていったが、結局1日半ほどしかもたなかった。息が荒くなってきたのでドリンクを飲ませてやる。少し飲むのだが大半は口から漏れてしまう。飲み込む力もなくなってきたのだ。やがて呼吸が苦しげになり息が詰まったような感じになって体全体でもがくような動作。とにかく息をさせようとして上体を持ち上げ、喉に詰まっていたらしい粘度の高いドロドロの唾液を吐き出させてやったが、唾液を吐いた後、少し息を吸ったと同時に反応がなくなってだらんとしてしまった。おそらく苦しいのは一瞬だったとは思うが、猫は文字通り息を引きとった。

「いや勘違いかもしれない、また動き出すかもしれない」と思って体をさすったり口の周りを拭いたりしたが、今まで触れるとピクッと小さく動いていた耳の動きが完全に止まっているので生体反射も停止しているようだ。足の裏の肉球を触るとだんだん体温がなくなってくるのが分かる。胸のあたりに指を当てても心臓の鼓動は伝わってこない。猫は、生という重い衣を脱ぎ捨てて、融通無碍な心の世界に旅だったのだ。たぶん楽しげに、手足を元気よく動かし尻尾を軽やかに振りながら、8月の太陽のもと、ひまわりのたくさん咲いてる草原をテッテケと歩いていったに違いない。


死の受容を考える

猫のことだから、むろん人間のような内省や後悔や感傷などという複雑な心的過程はないのだろうと思う。だが、ほぼつきっきりで世話してきた自分は、猫の中に自分自身を写して見ていたような気がする。もし自分が自力で起きられなくなったら、もし目が見えなくなったら、もし「死」を覚悟しないといけなくなったら、何を思い何を語るだろうか・・・人間とはこんな余計なことをよくもまぁ考えるものだ。猫のほうがよっぽどシンプルで潔い。

猫は衰えを嘆くこともなければ運命を呪うこともない。淡々と自分のあるがままを受け入れ、それが死出の道であっても、あらがうことなく歩んでいく。出来ることは可能な限りやるし出来ないことは無理してやらない。ただそれだけだ。もし人間に同じことができたら、それはある種の達観か宗教的超越によるものであるような気がする。たいていの人間は老いや死を受け入れることが出来ずにジタバタと右往左往するのだ。あるいは人生や「死」そのものに「意味」を見つけて安心しようと模索するのだ。

児童文学作家の故・ミヒャエル・エンデは、晩年にガンの告知を受け、医師から余命宣告をされたときに「ああ、そうですか」と淡々と受け、嘆いたり絶望したりということもなく、それ以降、亡くなるまで物静かな生活をこれまた淡々と続けたというが、エンデのような死に直面した上での「普通な生活」は、普通の人間には出来ないことだ。キューブラー・ロスの「死の受容の5段階」説が存在するくらいで、人間はかなり面倒くさいプロセスを踏むのである。つまり老いと死は、普通の人間にはかなり受容しにくい出来事なのだ。いやそれどころか、たかが消費税が上がったとか収入が減ったとか年金がどうのだとか、そんなことで大騒ぎしているくらいだから、生きてるだけでもすでに面倒くさいのだ。

それに比べるとウチの猫はまるで聖者のようだ。いや単なる擬人化なんだけどね。でも自分もそれくらい超越的な境地に達して、いまわの時でも心のなかで野原をかけまわってみたいよな、と思う。うん、断然それが良いと思う。

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